グレート物置91

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■電工2種 筆記試験 対策(実践編)その3 計算問題は捨てなくていい

計算系は捨てる!なんて簡単にあきらめずに、できるだけでいいから勉強しておく方がいいと思う派です。
公式丸暗記するのが勉強じゃない。出題パターンはある程度決まっているので、解法を覚える。それがコツです。


■基本的な知識

直接の解法ではないが、最低限知っておく方がいいと思うこと。

1)オーム則 V=RI

皆さんおなじみオームの法則
巷でよく見かける、丸に
 V
―――
I×R
って書くやつ。アレ何なんですかね。
たとえば、VとIを間違えて覚えたらどうするの?

この手の「公式丸暗記しろ!」系の苦行道が好きな人はおいといて、ポイントは

「抵抗=電流の流れにくさの度合い」平たく言えば、
「抵抗が高い」ってえのは「電圧を上げないと電流が流れない」

このイメージこそが重要。

この定義を素直に書けばR=V/I ということになるが、比率とか割合とかって言われると難しく感じる人は
V=RI で覚えた方がわかりよい、と思う。

この式が示すのは
・抵抗に対して、電流をたくさん流すには電圧を上げないといけない。
逆に言えば、
・電流が同じでも、抵抗が高ければ電圧が高くなる。
→水道ホースの先をつまんだ感じのアレ。

このイメージが後述の交流回路にも効いてくるので、バカにせず脳内整理されたい。


2)電力=電圧×電流

電力P=VI と表現するアレ。
これもまあ中学で習うことなので、特に疑問もなく覚えている人も多いと思う。

これは、例えば、P=IIRなどと変形できるがそういう式を一々覚える必要はない。
P=VIとV=IR この2つ覚えとけば十分。派生する式を一々丸覚えするのは愚。

3)キルヒホッフ則

要は、
「閉じたループで分岐する前と合流した後で電流の値は変わらない」
っていう当たり前すぎる話。
法則というほどのこともない。

これが効いてくるのは、分岐先の回路で、各々の合計が分岐前と等しくなるってことに注目して問題を解くカギになる。
その点を覚えておくこと。
実践で理解すればいいのでとりあえずふーんという感じで読み流してください。


4)合成抵抗

これも中学でならったことのおさらい。
直列:R=R1+R2+…
 つまり、Rが直列に並んだら単純足し算。皆知ってるカンタンな話。

並列:1/R=1/R1 + 1/R2 +…
 これをR=1/(1/R1 + 1/R2 +…) 
 みたいに書かれると、イラっと来る人も多いだろうが、ポイントは
 「並列合成すると抵抗は減る」
 この一言。

たとえば、4Ωと4Ωを並列にすると、流れるルートが2倍になるから「流れにくさ」は半分になる。つまり2Ω。
高速道路の車線を2倍に増やせば混雑度は1/2になるって寸法。
並列と直列の式をごっちゃに覚えてしまう人は上記のイメージで回避できる。


===ここまでが直流回路。交流が全滅でも、ここまでで計算問題の2~3割は取れます。

 

5)インピーダンス

V=ZI つまり、式自体は先述のオーム則と同じ形になる。(というか同じもの)

インピーダンス=電流の流れにくさの度合い

直流では純粋な抵抗Rのことだけを考えれば良かったが、交流ではインダクタL(コイル)とキャパシタC(コンデンサ)という要素を考える必要がある。

まずL。
これは電流の向きが変わることを妨害しようとする。
即ち、交流の周波数が高いほど邪魔になる存在。
つまり、直流であれば邪魔をしない。

次にC。
これはLとは逆に、電流の向きが変わらないと電流を通さない。
つまり、直流は通さない。
(実際には電荷が溜まるまでの短い時間は流れるのだが、二電工の筆記試験としてはその辺はスルーしてよい。)
結果として、交流の周波数が高いほど通しやすくする性質がある。

ここで、周波数って何かというと
単位時間あたりの振動数 

語弊を恐れず、もすこし平たくいえば、
1秒間あたりのON/OFF回数が 1[s-1] これを 1[Hz]と表す。

例えば、
1秒間に16連打するならば16[Hz]
1秒間に50回ならば50[Hz]
1秒間に60回ならば60[Hz]
ということになる。
交流の話で周波数の概念は不可欠なので、このイメージは押さえておくと吉。

まとめると
L:周波数が高いと邪魔をする。 直流(=周波数0)だと抵抗ゼロ。
C:周波数が高いと通しやすくなる。 直流(=周波数0)だと抵抗無限大。

ここで、抵抗Rに対比して、LとCの要素のことをリアクタンス(Xと置くのが一般的)と呼ぶ。
要するに、交流に対するリアクション要素ってことね。
このリアクションの芸風は2流派あって
XL:周波数? うぜえ、オレにチマチマ命令すんな! 今のやり方でやるぜ!(変化を嫌う)
XC:わしはLの反対なのだ。指示はすぐに対応するのだ。指示来るまで待機なのだ。(動きがないと飽和する)
というリアクションを取る。

余談だけど、

学術的には
XL:誘導性リアクタンス
XC:容量性リアクタンス
と呼ぶ。

回路の中にR、L、Cが含まれるものをRCL回路と呼んだり、インピーダンス源を語るとき、その要素についてL分とかR分とか言ったりする。


6)合成インピーダンス

RLC直列回路の場合、
 Z^2 = R^2 + X^2   ※^2は2乗のこと

この式は、Z=√(R^2 + X^2) と表現するテキストも多いが、
要は、ベクトル表現した場合にピタゴラスの三平方定理(直角三角形のアレ)と同じ形になるってこと。
細かい導出は別のサイトを見た方がわかりよいので省略。
個人的には、
「合成インピーダンスZは、三平方定理の形で求まる」
ってことだけ覚えてたら十分。

感覚的には、ここまでの話で計算問題の5割は解ける。
注意が要るのは、回路にC分がある場合は X=XL-Xcにすること。
簡単に言えばCはLを妨害するってイメージ。

ちなみに、RLCが並列の場合は、電流が分岐するので、電流値を三平方の式にするとよい。


7)交流と誘導

中学で習ったやつ。
コイルに電流を流してその向きを変化させると電磁誘導できる。
直流だと向きが変わらないので交流でないとダメ。
ラクリとかイメージは適当にググッたらGIFアニメとか図解とか大量にHITするので興味のある人はどうぞ。
電工の試験的には、そういうのがあったなあ、直流と交流の違い(の一つ)はそれかあ。くらいでOK。


8)力率と皮相電力

電力P=VI
って前に見たやんかと言いたくなるが、交流で送電する時、実際に消費する電力(有効電力)に対して、無効電力分を上乗せして送電しないといけない。
これが皮相電力P=VI 単位は[VA]
単位がWではなくVAなのは、電圧×電流 であることに意味があるから。
もう少し丁寧に言えば、単純にエネルギー量としてロスを見込んだ上乗せなのではなくて、負荷が欲しい電圧と電流を発生できるような電圧電流で供給する、という話。

ここで、皮相に対する有効分の割合即ち
有効電力/皮相電力=力率 と呼ぶ。

力率は、cosθで表現する…が、安心してください!
2電工の試験ではその導出とか三角関数の計算は気にしなくていいです。(2020年現在)

覚えておくのは 有効電力P=VIcosθ これだけ。
この式を忘れたら 力率=有効P/皮相VI から簡単に求まる。

9)位相

たとえば、電圧が上下する波として、電流が同時に追従するなら位相が一致。タイミングがズレてる場合はそのズレっぷりを位相と呼ぶ。
位相が360°ズレたら周回遅れだが、完全に周期的な動作であれば見た目は一致することになる。

10)3相交流 と誘導モーター

ぶっちゃけ、交流回路が3系統になっただけ…ではない。
この3系統は位相が120°ずつズレている、のがミソ。
これは偶然ではなく、わざと360°を3分割するようにしてある。

何がいいかってえと、3相交流のモータにこの3系統をぶっこむと、3つの相の電流磁界が順番に回転子を漕ぎに行くのでモータの構造が簡単にできるってこと。

2電工の試験的に覚えておく性質は以下2点。

「3相の2本を入れ換えると逆回転になる。」
これば、漕ぐ順番が変わるから。そんだけ。

「3相の電流、全部足したらゼロになる。」
テキストでぶっちゃけると位相が1/3ずつズレてるってそういうことです。
これはグラフとかアニメで見るとわかりよい。

電工試験的に重要なのは結果の方で、例えば、
・3相回路の漏れ電流を計測するのにクランプメータでどの線をつかめばいいかってな問題に対して間違えなくなります。
・デルタ結線、スター結線の問題を解くカギになる(こともある)